情報発信ビジネスを始める場合、「ターゲットを決めて、そこに向けた商品・サービスを作ればそれで良い」というざっくりした認識は危険です。
一口に「ターゲット(顧客層)決める」と言っても、マーケティング的にはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つのフェーズに分かれており、それぞれをしっかり分析した上でターゲットを決めないと、ビジネスをスタートしたときに「こんなはずではなかった、、」という事態になりかねません。
そこで今回は、ターゲットを決める上での最初のフェーズにあたる、セグメンテーションについてお伝えします。
セグメンテーションとは何か?
セグメンテーション(Segmentation)は、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)と共に、マーケティング戦略の基本フレームを構成する要素で、それぞれの頭文字を取ってSTP戦略(STPマーケティング)と言われます。
ターゲットを「40代以上の女性」、「渋谷駅周辺で働くサラリーマン」のように、年齢や場所で絞り込むことは聞いたことがあるのではないでしょうか?
セグメンテーションとは、同じように顧客になるターゲットを絞り込む前に、年齢、住んでいる場所、考え方・趣向、行動パターンなど、商品・サービスに対するニーズに応じた属性で分類しておくことです。
ターゲティング戦略は、誰に商品・サービスを売るかを決める、情報発信ビジネス中でも最も重要なものです。 ターゲティングを曖昧なままにしてビジネスをスタートすると、思うように売上が上がらない事態になり、後 ... 続きを見る ポジショニングを、簡単な日本語で表現するなら差別化です。 何と差別化するかというと、競合他社・ライバルとの差別化です。 見た目などの外見、商品の使いやすさ、サービスのホスピタリティや保証など、同じ商品 ... 続きを見る売上増のための正しいターゲティング設定方法
ポジショニング戦略でライバルと差別化する方法
セグメンテーションをしていないと起こる弊害
セグメンテーションを適当に分類した場合、ターゲティングやポジショニングがぶれる以外にも、ブランディングもぶれることになります。
さらに商品・サービスも、特定の人向けに絞りこんだものではない、万人向けのものになってしまい、先行するライバルとの差別化が難しくなってしまいます。
セグメンテーションの項目
セグメンテーションの項目は、マーケットによって変わってきます。
商品・サービスの消費財マーケットでは、地理的変数、人口統計変数、社会心理学的変数、行動変数の4つの項目になります。
一方で商品の生産に必要な材料や部品の生産財マーケットでは、人口統計変数、オペレーティング変数、購買アプローチ変数、状況要因変数の4つになります。
小資本で始める情報発信ビジネスの場合は、消費財マーケットの地理的変数、人口統計変数、社会心理学的変数、行動変数の項目に着目します。
地理的変数
地理的という言葉どおり、都市や地域の規模や経済発展の状況、人口、その土地ならでは文化や風習などでの分類です。
例
・「味噌の消費量全国1位は長野県で1人あたり11.9kg、長野県の人口は214.6万人」
・「長野県民は、塩辛い食べものを好む」
人口統計変数
性別や年齢、職業、収入、家族構成などの要素での分類です。
例
・「仮想通貨を買うのは、25歳〜30歳の独身男性で、年収は400万〜500万円」
・「グルコサミンを買うのは、50歳〜60歳の主婦」
社会心理学的変数
ライフスタイル変数とも言われ、ターゲットの趣向や世界観・価値観、考え方などの要素での分類です。
例
・「ミニバンを買う人は、家族との時間を大切にしたいと思っている」
・「美容整形をする人は、キレイになって自分に自信を持ちたいと考えている」
行動変数
ターゲットがいつ・どんなタイミングで商品・サービスに接する、購入するかに関連する、曜日・時間、頻度などの要素での分類です。
例
・「たこ焼きは土曜日の18時〜20時によく売れる」
・「美白化粧水は平日の18時台にデパートで、平日23時台にテレビ通販で売れる」
セグメンテーションの4つの判断基準
セグメンテーションの項目に着目すると、曖昧になりがちのターゲティングを明確化、絞り込むことができるようになりますが、これだけでは不十分です。
セグメンテーションしたターゲットで、実際にビジネスが成立するのかどうかを、次の4つの項目に沿って検証します。
分かりやすいように、『3ヶ月間で10キロ痩せる30万円のメソッドを指導するダイエットインストラクター』として、ビジネスをスタートする場合のターゲットを絞り込む、セグメンテーションの検証をします。
セグメンテーションの有効性を検討するための「4R」
①Rank(優先順位):各顧客層を重要度でランク付けできているか
ターゲットとして「ダイエットしたい」人を
女性で年齢が20代、30代、40代、50代の4つに絞ったとします。
この中でビジネスのターゲットとして重要視すべきなのは、どのターゲットかということです。
「30万円のメソッドを購入できるお金を出せるのは?」「時間があるのは?」などの要素で考えていけば、ターゲットを絞り込むことができます。
②Realistic(有効規模):セグメントは売上や利益が確保できる規模か
ターゲットになる見込み客の数が極端に少ないと、良い商品・サービスであっても売上金額は期待できません。
そのためターゲットを極端に絞り込みすぎず、「東京都内在勤の30代の独身OL」がターゲットなど、ある程度の数がいるのが良いです。
③Response(測定可能性):セグメントの顧客の反応を測定・分析できるか
広告を出したりして、レスポンスを得ることが可能かということです。
「東京都内在勤の30代の独身OL」がターゲット」であれば、読んでいるであろうフリーペーパーやWEBサイトに広告を出して、資料請求の申し込みをしてもらう等、現実的に考える必要があります。
④Reach(到達可能性):セグメントの顧客に効果的に到達できるか
すでにメルマガ読者いればターゲットに到達は可能ですし、メルマガ読者がいない場合はターゲットがいる場所に行ってチラシを配るなどのアクションが起こせるかどうかということです。
セグメンテーションはやりやすい時代
セグメンテーションは、マーケティングやリサーチをしたことがない人にとっては難しいことかもしれません。
ただ幸いないことに、セグメンテーションは、SNSを活用することで、ある意味誰でも簡単にできる時代になっています。
例えば、SNSの代表格であるFacebookは、年齢や移住地を公開して日々の出来事を公開している人であふれています。
Twitterは年齢や移住地は分かりませんが、人々の趣向や行動パターンを掴むのに使えますし。 何となくSNSを見るのではなく、ちょっとアンテナの感度を上げれば、ターゲットの絞り込みに活用できます。
まとめ
セグメンテーションで、商品・サービスに対するニーズを分類することで、ターゲティングの準備を万全なものにすることができます。
セグメンテーションは、店舗や事務所を構える来店型のビジネスでは必須、そして場所の制約がない講師業やコンサルビジネスでもある非常に重要です。