起業をすると決めて、開業届を税務署に提出した日が開業日になるわけですが、気になるのが開業日以前の売上や経費の扱いです。
開業届を提出した日以降の売上や経費は、確定申告の対象になるのは当然だが、それ以前は対象になるのか不明確ですよね。
結論からいえば、開業日以前の起業準備段階の売上や経費も、確定申告の対象になります。
開業日以前の経費
起業準備段階で、いろいろなことに対して支払ったお金も、立派な経費になります。
長年使えるものは固定資産
長く使う高額な資産(10万円を超える)は、一気に費用にするのではなく、時間をかけて費用にします(償却)。
固定資産は利用できる年数(耐用年数)が国よって定められています。
少額減価償却資産の特例
パソコンには数万円の性能はそこそこのものもありますが、どうせなら性能が良い10万円を超えるパソコンを購入したいと思うものですね。
ただ固定資産になると、4年かけて減価償却をしないといけないので、いろいろと面倒ですよね。
ところが青色申告をしている個人事業主は、少額減価償却資産の特例を受けることができ、30万円までの購入した資産を一括で経費にできるのです(年300万円の枠あり)。
青色申告は、開業届と同じタイミングで青色申告承認申請書を提出すればなれます。
人事業主が絶対に青色申告にすべき理由と青色申告承認申請書の書き方
利益(『売上-経費)に対して税金がかかるわけですから、開業初年度に経費を積み上げたほうが、節税になりますので、青色申告は個人事業主の強い味方です。
家賃や水道光熱費も経費になる
ネットビジネスのように、自宅でパソコン1台あれば開業できるビジネスもあれば、事務所や店舗が必要になるビジネスもあります。
開業前に必要になった家賃や電気代のようなものも、立派な経費になります。
按分とは
自宅の家賃や水道光熱費、インターネット利用料などを経費にする場合、すべてを経費にできるわけではありません。
重要なのはプライベートとビジネスの境目(按分)をどうするかということです。
ネットビジネスの場合、自宅のアパートが30平方メートルだとすると、パソコンデスクと書棚と作業スペースが占める面積は10平方メートルだとすれば、家賃9万円の1/3にあたる3万円を経費にできる計算になります。
同じように電話代やインターネット利用料の合計が1万円であれば、そのうちプライベート用が30%、ビジネス用が70%であれば、1万円の70%にあたる7,000円を経費にできる計算になります。
どれくらいを按分するかがケース・バイ・ケースですので、良識の範囲内で決めるようにしましょう。
開業日以前の売上
開業前のテスト販売で得た売上も、経費と同様に売上として計上しなければなりません。
どこまで遡れるのか
開業届は届け出を出した日であり形式上、開業日は開業届に記載された日となります。
それでは過去どれくらい遡って経費や売上を計上できるかというと、はっきりした規定はないのですが、長くても半年〜1年が基本ラインのようです。
例えば、開業届を4月1日に出したのであれば、過去1年分の前年4月2日〜3月31日までの売上や経費を計上できることになります。
まとめ
開業届の前に遡って、ビジネスのために支払った経費を計上できるのは、本当にありがたいことです。
だからといって、「500万円の高級車も経費にしちゃえ」というのはかなり強引です。
例えば、自動車に関連するアフィリエイトサイトを運営していて、高級車の長期レビューを書く必要があるというのであれば分からないではありませんが、自動車を必要としない業種であれば税務署に突っ込まれること成りかねません。
一方で、開業に必要なノウハウを得るための高額のセミナーや塾の受講費は、研修費として経費になりますので、そちらは問題ありません。