キャッシュフローとは、文字通りに現金の流れを意味する経済用語のことで、売上による収入から経費を差し引いて手元に残る流れを表しています。
キャッシュはビジネスの血液と言われるほど大切なことはお分かりでしょうが、個人事業を始めたばかりの場合、ビジネスの基本中の基本であるキャッシュの流れを見誤り、最初から大きくつまづいてしまう人がいるのです。
個人事業主は給料という概念がない
個人事業主として起業するか、株式会社など法人を設立して起業すべきが、業種業態や将来的な規模感、対外的な信用を鑑みて決定するのが普通ですが、それ以外のも報酬の入るタイミングを鑑みて、どちらかを決定する人もいます。
個人事業主の報酬の受け取り方
そもそも、個人事業主には月額報酬という概念がありません。
個人事業主の場合、月額報酬という概念はなく、売上で入ってきたお金は金額に関係なく、自分で使うことができます。
※正確には、事業主貸(=ビジネス用の銀行口座や財布から一時的に経営している人にお金を貸す)という会計処理
社長の報酬の受け取り方
株式会社などの法人の場合は、1人社長であっても最初に月額の役員報酬の金額を決めます。
例えば、『会社を設立した1年目の月額の役員報酬は50万円にする』という感じです。
途中で売上が思ったようにあがらくなって資金繰りが厳しくなれば、役員報酬を30万円などに下げることはできても、売上が急上昇したから役員報酬を100万円に上げることはできません。
つまり、法人の場合は毎月決まった役員報酬しかもらえない、一方で個人事業主は自由にお金をもらうことができる、、とうわけです。
個人事業主にありがちなキャッシュフローでの失敗
株式会社を設立してビジネスをスタートする場合、資本金が必要になります。
事実上資本金1円でビジネスをスタートこともできますが、ある程度の資金を法人用の銀行口座に入金して、そこから役員報酬を支払う形にするのが一般的です。
ビジネスのお金の流れは、法人用口座でしっかり管理できます。
一方、個人起業でビジネスをスタートする場合には、資本金は必要ありません。
自分の銀行口座から、報酬という名の生活費を引き出して使うことになります。
ということは、ビジネスのお金の出入りと生活費、つまりビジネスとプライベートのお金の流れがごちゃごちゃになってしまい、キャッシュフローが見えにくくなってしまうのです。
そうなると困るのが、税金の支払いです。
例えは、ビジネスでの売上が右肩上がりで、自分の銀行口座にはどんどんお金が入金されて、その額2,000万円と達したとします。
お金があると気持ちに余裕もできるので、プライベートでの出費が増えるようになります。
高いものを購入したり、海外旅行に出かけたりと、それなりに楽しい起業家ライフを送っていたところ、確定申告の季節がやって来ました。
プライベートと個人用を兼ねている銀行口座の残高は散財のせいで100万円、一方で税金で100万円支払う必要があります。
銀行口座の残高は0円になってしまいますが、「また稼げば良い」と楽観的に考えていたところで、売上が急減してしまったら、、、、どうでしょうか?
よく一発屋の芸人さんが、大きく稼いだ直後に多額の出費をして、翌年の税金の支払いに四苦八苦していたところに、ブームが去って、仕事が急減して、万事休す、、、、という流れを同じことが、個人事業主にも起こるのです。
個人事業主もビジネス用の銀行口座を作ったほうが良い
個人事業主もビジネス用の銀行口座を作るのが、キャッシュフローを考えたビジネス運営に必要不可欠です。
個人事業主の名義で、新たに銀行口座を開設するか、ほとんどのお金の出し入れがない銀行口座を、ビジネス用の転用するのが良いです。
さらに良いのが、個人事業主として屋号付きの銀行口座を開設することです。
ゆうちょ銀行で口座を開設する
全国津々浦々にあるゆうちょ銀行で、「屋号のみ」の口座を開設することができます。
ただし、ゆうちょ銀行で開設できるのは「振替口座」と言って、通常の銀行口座のようにATMでお金の出し入れができない、送金(振込)と受取専用の口座です。
楽天銀行で口座を開設する
楽天市場や楽天球団などでお馴染みの楽天グループの一員である、ネット銀行の楽天銀行で個人ビジネス口座を開設することができます。
個人ビジネス口座の場合、「屋号+氏名」もしくは「氏名+屋号」のどちらかのみで、ゆうちょ銀行のように「屋号のみ」の口座開設は、残念ながらできません。
ゆうちょ銀行、楽天銀行の両方ともに、ネットバンキングシステムを使うことができるので、パソコン上でお金の管理ができます。
売上の管理や外注先などへの支払いの管理に使えるので本当に便利です!
まとめ
個人事業主はビジネスでの売上をそのまま収入にできてしまうため、しっかりと後のキャッシュフローを意識したビジネス運営をしないと、大変な事態に陥ることがあります。
右肩上がりで売上が上がっていき、やがて安定するようになれば、先の税金の支払いの心配もいらなくなるでしょうし、税理士のようなプロを雇うこともできますので、まずは地道にコツコツとビジネスを育てていきましょう。